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横浜地方裁判所 昭和41年(わ)851号 判決

本店所在地

神奈川県高座郡海老名町河原口二、一〇一番地

東横建材株式会社

(右代表者代表取締役 佐藤治矯)

本籍

神奈川県高座郡海老名町河原口二、一〇一番地

住居

右同所

会社役員

佐藤治矯

大正六年一二月一四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官黒瀬忠義出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人東横建材株式会社を罰金九〇〇万円に処する。

被告人佐藤治矯を懲役六月に処する。

但し、被告人佐藤治矯に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人らの連帯負担とする。

理由

(罰となるべき事実)

被告人東横建材株式会社は、肩書本店所在地に本店を置き、砂利の採取ならびに販売を目的とする資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人佐藤治矯は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤は被告会社の業務に関し所定の法人税を免れようと企て

第一、昭和三七年六月一日より昭和三八年五月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が七七、一五〇、二四二円で、これに対する法人税額が二九、二一七、〇七〇円であつたのにもかかわらず、売上を除外するなどの不正な方法によりその所得の一部を秘匿して、昭和三八年七月三一日、所轄厚木税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、六六一、九七一円で、これに対する法人税額が二、〇五一、五二〇円である旨の虚偽の記載をした法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額二七、一六五、五五〇円を逋脱し

第二、昭和三八年六月一日より昭和三九年五月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が三〇、九三一、四七一円で、これに対する法人税額が一一、六〇三、九三〇円であつたのにもかかわらず、売上を除外し、或いは従業員に対する退職金を架空計上するなどの不正な方法によりその所得の一部を秘匿して、昭和三九年七月三一日、所轄厚木税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六、八六七、八二〇円でこれに対する法人税額が二、四五九、七六〇円である旨の虚偽の記載をした法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額九、一四四、一七〇円を逋脱し

たものである。

なお逋脱所得の内訳は別紙第一、第二記載のとおりである。

(証拠の標目)

判示事実は

全般につき

一、被告人佐藤治矯の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する供述調書三通

一、大蔵事務官の同被告人に対する質問てんまつ書五通

一、渡辺要の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官の渡辺要(39・11・14付-昭和三九年一一月一四日付の意以下同様)、斎藤隆寿、渡辺洋子、佐藤鈴子(40・3・10付)に対する各質問てんまつ書

一、登記官坪井忠作成の被告会社の登記簿謄本

一、大蔵事務官臼井一彦作成の脱税額計算書説明資料と題する書面

一、押収してある法人税決定決議書綴一綴(昭和四三年押第一二一号の証一号)、法人税確定申告書一通(証二号)

別紙第一の〈1〉、〈2〉および別紙第二の〈1〉、〈4〉の各事実につき

一、証人臼井一彦の当公判廷における供述

一、同人作成の簿外勘定内訳調査書

一、同人作成の41・10・17付上申書

一、同人作成の銀行調査書類と題する書面

一、村上幸雄作成の39・11・10付上申書

一、蒲義光(40・12・6付二通)、青木和夫(40・12・3付二通)、原田栄二(40・12・14付三通)、勝間田泰(40・12・14付)増田浩(40・12・14付二通)、伊藤武夫(40・12・8付三通)、藤沢信用金庫本店(40・12・15付)、古谷滋夫(40・12・15付六通、40・12・14付一通)、石田道雄(40・12・28付四通、40・12・27付三通)各作成の各証明書

一、押収してあるノートブツク一冊(証四号)、預金担保明細書一綴(証五号)、別口預金明細書一枚(証六号)のほか別紙第一の〈1〉の〈イ〉および別紙第二の〈1〉の事実につき

一、桜井千恵子、井出秀雄、金沢常の検察官に対する各供述調書

一、石井秀雄、馬場清作、小堺金治、桜井千恵子、高橋茂、中島元雄、伏見厳(五通)、星野嘉平、金沢常各作成の取引内容照会に対する各回答書

一、押収してある補助仕入帳一綴(証四三号)

別紙第一の〈1〉の〈ロ〉の事実につき

一、大蔵事務官の白井公一、杉本雄五郎、甘利正、熊井午蔵、佐藤喜二、八亀昌美(二通)、小松高明、深石定男に対する各質問てんまつ書

一、大植太郎、成井テル子、安間周治、杉山松吉、菊池原テツ子作成の各上申書

一、押収してあるミカミ楽器店作成の証一枚(証八号)、同領収証一枚(証九号)、桑原建材作成の領収証一枚(証一〇号)、当座勘定受入副報告書一一枚(証一一号)、当座口振込金受取書一枚(証一二号の五)、ノートブツク一冊(証一三号の一)、重田作吉作成の証等一綴(証一三号の二)、小林栄喜智作成の証等一綴(証一三号の三)、鈴や電話店作成の領収証一枚(証一四号)、榎本俊郎作成の証一枚(証一五号)、佐藤定商店作成の証一枚(証一六号の一)、同納品書一枚(証一六号の二)、長谷川設計工務所作成の証等一綴(証一七号)、露木恆夫作成の証等一綴(証一八号)、飯沼砂利店作成の領収証等一綴(証一九号)、京浜鳥獣貿易株式会社作成の証一枚(証二〇号)、備品明細書等二枚(証二一号)、土地賃貸借権利譲渡証案三枚(証二二号の一)、三月分請求明細一綴(証二三号)、秋山初夫作成の領収証等一綴(証二四号)、佐藤博作成の領収証一枚(証二五号の一)、売買契約書一通(証二五号の二)、八亀直次郎作成の証二枚(証二六号の一、二)、小松高明作成の証一枚(二七号の二)、売買契約書一通(証二七号の三)、日本娯楽物産作成の仮領収証二枚(証二八号の一、二)、ホテル東横の総勘定元帳一冊(証二九号)、振替伝票二二枚(証三〇号の一)、芦川文男作成の証二枚(証三一号の一、二)、山上スエ作成の証一枚(証三二号の一)、溝呂木マサ作成の証二通(証三三号の一)、登記済権利証二通(証三三号の二)、森久保宅男作成の証一枚(証三九号)、小林房男作成の預り証一通(証四〇号)、当座預金帳一冊(証四一号)

別紙第二の〈2〉の事実につき

一、臼井一彦作成の銀行調査書類

一、押収してある総勘定元帳一冊(証三五号)、当座預金帳一冊(証四一号)現金出納帳一冊(証四二号)

別紙第二の〈3〉の事実につき

一、伊藤克已、栃折三好の検察官に対する各供述調書

一、押収してある退職所得の受給に関する申告書綴一綴(証三四号)、総勘定元帳一冊(証三五号)を総合して、これを認める。

(法令の適用)

一、罰条および刑種の選択

判示第一、第二の各所行為につき

(一)被告会社につき

昭和四〇年法律第三四号法人税法付則一九条による改正前の法人税法四八条一項、五一条一項

(二)被告人佐藤につき

同改正前の法人税法四八条一項(懲役刑を選択)

二、併合罰の処理

(一)被告会社につき

刑法四五条前段、四八条二項

(二)被告人佐藤につき

同法四五条前段、四七条本文、一〇条(重い判示第一の罪の刑に加重)

三、刑の執行猶予

(一)被告人佐藤につき

同法二五条一項

四、訴訟費用の処理

刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 赤穂三郎 裁判官 吉田修 裁判官 増山宏)

別紙第一

逋脱所得の内訳

自昭和37年6月1日

至昭和38年5月31日

△印は減算

〈省略〉

別紙第二

逋脱所得の内訳

自昭和38年6月1日

至昭和39年5月31日

△印は除算

〈省略〉

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